水琴と日本文化
私たちが提案する「水琴(みずごと/水琴窟)」は、単なる音響装置ではありません。そこに響く一音一音には、日本文化の根底にある美意識、精神性、そして自然との共生の哲学が息づいて います。
水琴は、音を通して日本文化の“静”の哲学、美学、そして自然観を体現する唯一無二の装置です。その一音には、日本人の目に見えない心のあり方、自然との共生、そして存在そのものへの敬意が込められています。
私たちは、この水琴の空間と精神性を現代に、そして世界に伝えていきたいと願っています。
1. 侘び寂び(わび・さび)
水琴の響きはとても深く、耳を澄ませばさらに奥深い音が聞こえてくる繊細さを備えています。これは、日本文化に根ざす「侘び寂び」の美──すなわち、不完全さや移ろいゆくものの中にある深い美しさを体現するものです。滴下音のリズムは人が完全に制御できない自然の動きであり、そこに自然との調和の心が宿っています。
2. 自然との共生・循環の精神
水琴は「水」と「音」という自然のエネルギーを利用して、音楽ではなく“環境の響き”をつくり出します。地中に埋める水琴窟としては、滴る水が排水され自然に還り、室内用では循環する仕組みを持ち、水は再利用されます。この構造自体が、日本人の知恵である「自然と共に生きる」という価値観を象徴しています。
3. 間(ま)と余韻の美学
水琴の響きには、音そのものだけでなく、「間(ま)」や「余白(よはく)」の美が含まれます。音と音の間に生まれる静寂、音の消え際の余韻──それらが、聴く人の“心の余白”と共鳴し、美を完成させていきます。この感性は、茶道・能楽・書道など、日本の伝統芸術に共通する“道”の哲学にも通じています。
4.精神性と神聖性──禅と神道の系譜
水琴は、もともと手水鉢や蹲踞(つくばい)と共に、神聖な空間に設置されてきました。そこで響く音は、装飾的なものではなく、「場を清める音」「心を整える音」として、神道や禅の精神に深く関係しています。無音も含むその音が、逆に心の静けさを引き出し、精神を整える効果をもたらしてきました。
5. 五感・第六感への働きかけ
水琴は視覚よりも聴覚を通して空間や時間を感じさせ、感覚の深層に作用します。その音色は「懐かしさ」や「内的な静けさ」を呼び起こし、潜在意識に触れる体験を提供します。それは、単なる聴覚の刺激ではなく、感性や無意識とつながる「音の瞑想」とも言えるでしょう。
What Aspects of Japanese Culture Does the Mizugoto Represent?
The Mizugoto (also known as Suikinkutsu, or water harp) we present is far more than a simple acoustic device. Every sound it produces carries the essence of Japanese aesthetics, spirituality, and the philosophy of living in harmony with nature. Mizugoto is a one-of-a-kind instrument that embodies the philosophy of “quietude,” the aesthetic values, and the worldview of nature found in Japanese culture. Within each delicate note resonates the invisible heart of the Japanese people, their symbiotic relationship with the natural world, and a profound reverence for existence itself. It is our wish to bring the space and spirit of the Mizugoto into the modern world, and to share it with people around the globe.
1.Wabi-Sabi: Beauty in Imperfection and Transience
The resonance of the Mizugoto is subtle and profound. When you listen carefully, it reveals layers of delicate sound. This embodies the aesthetic of wabi-sabi ̶ the beauty found in imperfection, transience, and the gentle stillness of things. The unpredictable rhythm of dripping water reflects the uncontrollable movement of nature, invoking a spirit of harmony with the world around us.
2.Harmony and Sustainability with Nature
Mizugoto utilizes natural energies ̶ water and sound ̶ not to create music, but to shape the “resonance of the environment.” When installed underground as a traditional suikinkutsu, the dripping water is drained back into the earth. In indoor use, the water is recirculated through a closed-loop system. This very design symbolizes a key aspect of Japanese wisdom: living in harmony with nature through sustainable cycles.
3. The Aesthetics of Ma (Space) and Yoin (Resonance)
Mizugoto’s beauty lies not only in its sounds, but also in the silence between them ̶ the ma (intervals) and yoin (lingering resonance). These moments of stillness resonate with the listener’s own “inner silence,” completing the aesthetic experience. This sensitivity is deeply connected to the philosophy of the “Way” (Michi) found in many traditional Japanese arts such as tea ceremony, Noh theater, and calligraphy.
4.Spiritual and Sacred Presence ̶ The Legacy of Zen and Shinto
Mizugoto has traditionally been installed in sacred spaces, often alongside ritual wash basins (chōzubachi) and tsukubai. Its sound was never merely decorative, but served to purify the space and calm the spirit. These qualities are deeply aligned with the spiritual traditions of Zen and Shinto. Even its silence draws forth a stillness of the mind, facilitating inner peace.
5.Engaging the Five Senses ̶ and the Sixth
Mizugoto is not a visual experience, but one that engages the auditory sense to evoke spatial and temporal awareness. Its sound calls forth feelings of nostalgia and inner calm, reaching into the subconscious to offer an artistic, meditative experience. It is more than sound ̶ it is a “sonic meditation” that touches emotion and intuition alike.
古人の楽しみ
水琴窟は、水滴音を地中に埋めた「甕(かめ)」に共鳴させてその音を楽しむ、日本庭園文化における最高技法のひとつとされてきました。
約400年前小堀遠州が提案した排水装置を起源とするとされ、江戸時代から風流人の音遊びとして町家の坪庭などに設置されてきました。
戦前戦後の雑踏の中、この繊細な感覚は一度忘れられ幻の音風景と呼ばれるようになりました。
よみがえった日本の音
ティーズ・コーポレーションは水琴窟の伝統的な技術を復活させ、さらに音響技術を駆使して、現代の住空間でも味わえる音量、音質で蘇らせることに成功しました。
その功績が認められ、2003年にはイタリア・アッシジにある聖フランチェスコ大聖堂(世界遺産)内に世界の平和のシンボルとして水琴窟が寄贈、設置され、大聖堂から感謝状を頂きました。また、世界学術研究アカデミー財団(アメリカ)から、国内外の水琴窟普及活動に対して「世界学術研究アカデミー賞」を受賞しました。
※ 図は、伝統的自然排水型の断面イメージ図です。水琴窟は、水滴音を陶器製の瓶に共鳴させて残響音を楽しむ装置です。そのため瓶の形状、材質、製造方法、設置する空間、甕を満たす水の水位などを調整して作られます。特に設置される環境に左右されるため、環境を調整する必要があります。
進化する響き
水滴の共鳴音には、自然界にある安らぎを与える要素が凝縮されています。ティーズ・コーポレーションでは、その効果を凝縮して発生できるよう研究を重ね、10年以上に及ぶ水琴窟の施工経験と音響技術を集約させて「水琴®/Mizugoto」を完成しました。 さらに循環モーターを使用することで、今まで日本庭園でしか味わうことができなかった水琴窟の音色を室内でも楽しめるようにしました。
この水琴®は、世界最大級の家具展示会であるミラノサローネ2005に出展され、世界中から脚光を浴び、JR京都駅ビル、JR名古屋駅ビル、「愛・地球博2005」でも使われ、室内外、場所を選ばず、さまざまな環境で使われるようになりました。
ティーズ・コーポレーションの水琴®は、特許取得、商標登録しています。
近未来型エネルギー発生装置
ティーズ・コーポレーションはさらに研究を重ね、水利工学的、音響科学的にハイパーソニックエフェクトを提供するものとして水琴を昇華させました。
環境を整え、動植物、人体のエネルギーを提供するエネルギー発生装置として、さらなる進化をとげています。医療、健康、農業、漁業、環境、暮らし、娯楽、その他、さまざまな分野とのコラボレーションが予定されています。
ハイパーソニックエフェクトと心地よいゆらぎを同時に提供できるのは、弊社の水琴窟(水琴)だけです。
スペクトル解析
Mizugoto(水琴)®サローネ(100khzまで)
Mizugoto(水琴)®の周波数は高周波成分が極端に大きくなっており、可聴域(耳で聞こえる音)以上のハイパーソニック成分が多分に発生していることがわかります。又、深みを感じる低音にもピークがあり、深みのある快適な音になっていることが分かります。
10khzまで拡大
周波数特性上2khz付近の音は人に不快な印象を与えるとされていますが、水琴の音はそのあたりの成分が少なくなっており、不快感を与えない音であることが分かります。
水琴五行(100khzまで)
水琴五行は、水琴サローネ同様に高周波成分が極端に大きくなっており、可聴域(耳で聞こえる音)以上のハイパーソニック成分が発生していることがわかります。コンパクトサイズの為、低い音は出ていないことも分かります。
協力 京セラ株式会社
測定 鳥取県産業技術センター
配信システム
特殊音響管と専用マイク、専用スピーカーを使用することで、騒々しい環境でも水琴の音をお楽しみいただけます。生音だけでも充分な音量は出ていますが、騒々しい環境では音がかき消されてしまいますので、ご相談ください。